W杯 グループ B 天才は天才を輝かせられるか

【グループB】
アルゼンチン
ナイジェリア
韓国
ギリシャ

●アルゼンチン
攻撃陣・特にFWの陣容を見れば溜息が出るほどに素晴らしい。
情報を見渡すとメッシ(バルセロナ)、イグアインレアル・マドリード)がスタメンの有力候補と見られているらしいが、先日のチャンピオンズリーグ決勝で2ゴールを挙げたミリートアトレティコアグエロマンチェスター・ユナイテッドテベス、2000年トヨタカップMVPのパレルモまでズラリと並ぶ陣容は、スタメン争いでさえ興味の対象になるほどにビッグネームが揃っている。
中盤はリケルメが落選したものの、底には昨年のトヨタカップで健在ぶりを見せつけたベロンにマスチェラーノ、DFにもサムエルやエインセが選ばれ、守備面でも問題ない。

ところが選手選考には一抹の不安がある。現在も依然好調が続くカンビアッソやガゴが選ばれなかった事、それにサネッティを外した事でサイドバックの本職が居なくなった事。センターバック4人を並べる4バックには批判が集まっている。勿論サイドもこなせるだろうが、サイドアタッカーが必要不可欠と言われる現代サッカーにおいてはとてもストロングポイントと言えるものではない。
ここ最近のアルゼンチンが中途半端なサイドアタックで軽いチームになっていた事を考えると、比重が中央に向くのは悪いことでは無いが。

それでも結局のところ、アルゼンチンの話はメッシに落ち着く。このチームの最大の懸念材料はメッシが代表ではまるで輝きを失ってしまう事。
ジダンバッジォロナウドがそうであったように、エースの活躍は必要不可欠になる。
メッシが輝かない限り、アルゼンチンに栄光は無い。
マラドーナが求められる事はただ一点、メッシをもっと生かせ、だ。

●ナイジェリア
かつてはアフリカンサッカーの代名詞のようなプレーが続出したスーパーイーグルスも、ここ数年陰りが見えている。
世界最速の触れ込みで一躍名を馳せたマルティンスも伸び悩み、現在ビッグクラブに所属するのはミケルのみと言うのは何とも寂しい。未だにカヌが召集される辺りにも層の薄さを感じさせるし、W杯で2敗を喫している相性の悪いアルゼンチンと同居と言うのも不安材料。
それでも相変わらず身体能力に優れた選手がズラリと並んでいるようだし、必ず新星が飛び出すのがアフリカ代表チームの特徴。ノーマークである方が恐ろしいのがアフリカ。またしても驚きの旋風を巻き起こせるか。


●韓国
日本よりはマシだったとは言え、W杯予選は不振、東アジア選手権では中国に3−0で負けるなど、チーム状態はずっと悪かった。が、ここに来て親善試合を連勝するなど調子をあげてきている。
日本戦ではフィジカルやチームの完成度が世界と戦えるだけの準備がされている事を証明した。
2002年、大ブレイクし、今やアジア最高峰まで上り詰めたパク・チソンをはじめ、タレントが前線に揃っているのも心強いし、何よりも自分達のサッカーの方向性への自信が伺える。
全体的に調子の悪いチームが揃うこのグループ、地元開催だった2002年を除くと、今回が今までで一番のチャンスである事は間違いない。

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ギリシャ
親善試合ではセネガルに負け、北朝鮮に2失点を喰らうなど、このところはかつてのユーロで見せた堅守の片鱗は見られない。
しかしユーロ以前から続くレーハーゲル体制は、あの頃よりも熟成された組織力を手に入れているし、欧州予選得点王のゲカスと言う絶対的エースが居るのも大きい。熟練されたカウンターに得点王と言う、最高の組み合わせがある以上、タレント以上の結果を残せる可能性を充分に感じさせてくれる。
狙い撃ちで見事ユーロを勝ち取ったように、今大会も本番に照準を合わせているのならば、事前の成績は当てにはならない。
再びダークホースになるか。


■総評
アルゼンチンは監督がマラドーナとは言え、流石にこのメンバーで予選落ちは無いだろう。
守備よりも攻撃のチームが多いので、ゴールショーも見られるかも知れない。
2番手はグループA同様横一戦。
能力的に極端な差は感じないが、堅守速攻型のギリシャにとって、前掛かりに攻めてくる攻撃型のナイジェリア、韓国は相性が良いと言える。
ミケルやパクチソンギリシャの堅守を崩せないようであれば、ギリシャのカウンターの餌食になる可能性は高い。
相性の点で考えると

◎アルゼンチン
ギリシャ